都と京   酒井 順子 (新潮社)

都と京(みやことみやこ)   酒井 順子  (新潮社)
2006/9/15 1刷 1500円(税別)
初出:「小説新潮」2004/8月号~2006/3月号/8月号+書き下ろし
装画:坂崎千春 装幀:佐藤可士和

miyako

思えばはるか以前、稚内にあったきわめてユニークな宿に泊まったとき、京大自転車部の美人が話す京都弁を、生まれて初めて聞いてグッときました。

「京都弁ってイイなぁ」と。(特に美人が話す)

その後、本書にあるような京都弁の多重意味構造に徐々に気づき、なんとなく京都の人は怖いという印象を刷り込まれてきたのですが、確かに京都人カルチャーは一筋縄ではいかない、深みがあるのかもしれません。

京都の町家に住み、日本文化の研究をしている米国人の知人が、京都は「プライドの高いいなか」と言っていたのを、思い出し笑いしつつ、本書を読みました。

旅することから無縁になった筆者は、「京都ラブ」満載の本書で、久しぶりに京都へ行きたいと思い、著者の他の著作への興味も湧き、酒井ファンになりつつあります。

ただ、常体と敬体が混在するスタイルには慣れず、軽やかな文章が乱されているように感じてしまうのは、筆者の感性が鈍重だからのなでしょうか。

育ちの良い著者のお友達も、当然アッパーミドルなのでしょうが、本書にあるように、京都の結婚祝いの風習が、あのような状況なのかと、初出から10年経た只今現在が気になります。

京都旅ガイド本としても楽しめる1冊でした。

酒井氏面白です。

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